「陽介、元気に過ごしてますよ」
ドクン……。
陽介の名前を聞くだけで、こんなに動揺するなんて。
「そ、そっか。それはよかった」
私は苦笑いを見せながら、震える唇を必死に動かした。
よかった。
うん、よかった。
陽介が元気なことを聞けて、よかった。
なのに、どうしてだろう。
胸が、潰れそうなくらい痛い。
笹道さんの純粋な瞳と笑顔が、私の心を黒くしていく。
「大学生になって陽介、少し大人っぽくなったんですよね」
「へ、へ~」
「女の子から毎日のように告白されてて、もうヤキモチすら妬かなくなって」
「そっか……」



