「……で、その友達はどうしたの?」
私は話を戻して、そう聞いた。
笹道さんはココアの入っているコップを置いて、口を開いた。
「はぐれちゃって……」
目を伏せながら笹道さんは呟くように言った。
私は「そっか…」としか言えなかった。
「でも、遊理さんのこと思い出して、遊理さんがいるクラス聞いて、ここに来たんです」
「そうだったんだ」
笹道さんの素直な言葉が、私の胸をさらに傷つけた。
こんなにいい子なのに、こんなに可愛い子なのに。
陽介と笹道さんの幸せを、心から望めないなんて。
私って、本当に最低。
もう少しいい人になりたいのに。
まだ思い出に出来ていない初恋。
いつになったら、思い出に…過去のものにできるの?
思い出にできる方法を、誰か教えてよ。



