凪雲くんの声は、なぜか震えていた。
どうして凪雲くんが泣きそうになってるの?
『賞味期限が切れていようとも、それは恋だよ』
『うん……っ』
『その恋を思い出にするのも、恋だ』
ふと思い出した、『この恋、賞味期限切れ』の映画のワンシーン。
賞味期限が切れても……楽しさがなくなって、切なさや苦しさだけになったとしても、恋?
その恋を思い出にするのも、嬉しさよりも辛さが多いとわかった恋なの?
「思い出にできなかったのは、それほど琴平先輩を好きだったってことだろ?」
……そうだよ。
すごく、すごく、好きだったの。
忘れたくないくらい、好きだったの。
初めて人を好きになった。
初めてあんなに、人を好きになれた。
初めて、愛の深さを知ったの。



