「楽しいよ」
「そうですか」
もう、会わないと思っていた。
もし会うとしても、その時にはもうお互い幸せになっているときだろうと、思っていた。
だけど、現実は厳しい。
思い知らされる、私の気持ち。
過去になんてできてない。思い出にさえできていない。
今も変わらずに、私は彼のことを……。
「……もう陽介とは呼んでくれないんだな」
ポツリと、吐き捨てるように呟かれた陽介の言葉。
私はその言葉に、目を丸くした。
その声は、とても切なく震えていた。
今にも泣きそうなくらいに。
ずるいよ、陽介。
そんな声で、そんな言葉を言わないでよ。
私まで、泣きそうになる…。



