「海、俺は………」 「大学生活、どうですか?」 陽介の声を遮って、私はそう尋ねた。 海なんて呼ばないでよ。 私は初恋を思い出に“したい”の。 もうこれ以上、私の心を揺らさないでよ。 私は逸らしていた視線を、陽介に向けた。 陽介の瞳は相変わらず真っ直ぐで、逸らしたくなくなった。 ――トクン…。 どうして、胸が高鳴るの? まるで今でもあなたが好きみたいじゃん……。 違う。違う。 好き“だった”の。 もうこの恋は、賞味期限が切れているのに。 どうしてまた、甘く鼓動は高鳴るの?