「あれ、藤城?」
「あ、会長!」
ふと後ろから声が聞こえ顔を向けると、私たちが一年生だった頃の会長と、そして……
―――陽介がいた。
私は目を丸くして、すぐに視線をそらす。
どうして。
どうしてここにいるの?
ぐるぐると視界が回る。
やだ、やだ。
会いたくなかったのに。
私は無意識に下唇を噛み締めて、拳を握り締める。
唇が切れそうなくらい、強く。
爪痕が残るくらい、強く。
「海……」
凪雲くんはそんな私を見て、心配そうに瞳を揺らした。
大丈夫、大丈夫。
心の中でそう言えても、実際に口に出すことはできなかった。



