前を走る青軍を、抜く。



両手両足を動かして、バトンを持つ手に力を入れる。






そして、バトンを渡した。



私は走り終えたのだ。






「はぁ、はぁ……」


つ、疲れたぁ。




私は肩で息をして、呼吸を整える。


けど、一人抜いたし、結構いい感じだったんじゃない?




無意識に笑みがこぼれ、私は額ににじみ出ている汗を拭う。






暑いな、今日は。


夏……なんだなぁ。





陽介と出会った春は終わり、


陽介と両思いになった夏が、訪れたんだ。





チクリ。


刺が刺さったような痛みには、気づかないふりをした。