「やっと海らしくなったね」



「えへへ、そう?」





だとしたら、それは凪雲くんと空のおかげだよ。


失恋で泣いていた私のそばに、ずっといてくれたんだもん。




呆れもせず励ましてくれて。


冷たくせず笑いかけてくれて。






二人のおかげで、今、私は笑えてるんだよ。








「凪雲くん、ありがとね」



「何が?」



「いろいろ」




私は目を細めて、笑った。


心の傷がなくなったわけじゃない。




だけど、前へ進み始めた私にはもう、傷を負ったその心が苦しいと思わなくなっていた。


未来はきっと、明るい。

そう信じて、歩き始めた。