「……私、思い出にできるように頑張ってみる」
私はそう言って、立ち上がった。
できるよね、私なら。
恋をして、失恋して。
私と同じような気持ちになった女の子は、きっと残酷であっても、新しい恋をして終わってしまった恋を思い出に変えてきたんだ。
だったら、私も。
忘れるのではなく、消すのではなく
思い出にしてみよう。
この、大切な初恋を。
全てが“涙”だったわけではない。
辛く苦しいことばかりだったわけではない。
笑顔が溢れていて
楽しくて嬉しくて
なにより幸せを感じてた。
陽介と過ごした時間は、とても温かかった。



