――また、春がきた。

陽介と出会った季節が、やってきた。






今でも胸を苦しめている初恋は、春を感じる度にもっと辛さが増してくる。



やめてやめて、と叫んでも

届かない、伝わらない。





わかってるんだ、自分自身でも。


私がまた、陽介のことを忘れられないこと。





陽介のことをまだ好きなこと。






……全部、わかってる。


だからこそ、苦しいんだ。





どんなに時間が過ぎても、どんなに忘れようと願っても


私の心は揺れ動いたまま、何も変わってはくれない。






初恋が大切なこと、わかってるけど


忘れたいって思うんだ。




あの涙を、もう二度と流したくないから。