終わらせたくなんかねえ。
海への想いは、今でも胸にあるのに。
どうして俺は昨日、去っていく海を追わなかった?
どうして俺は、苺綺の言葉は嘘だとすぐに言えなかった?
もし追っていたら、もし言っていたら。
そんな後悔が、心に積もっていく。
まるで、今降っている雪のように。
「琴平先輩。
どうして海を泣かせたんですか。どうして海を不安にさせたんですか。
海は、いつだって、想いを真っ直ぐに伝えていたはずでしょう?」
遊理空は、苦しそうに俺に訴える。
その表情は、まるで昨日の海を見ているかのようだった。
「海を幸せにしてくれると思っていたのに」
遊理空は泣き出しそうなくらい声を震わせてそう言って、俺の前から去っていった。
俺自身も、海を幸せにしたかった。
海の隣で、ずっと幸せを感じて笑ってたいって思ってた。
なのに……っ。



