『ごめんね、陽介くん』
『苺綺、なんであんなこと……』
『わかってるでしょ？好きだからだよ』
苺綺の瞳は真っ直ぐで、俺は黙ってしまう。
苺綺は中学の頃、苺綺と親しかった友達に好きな人を奪われた。
そのことを知っているからなのか、何も言えなくなる。
情けないよな、俺。
だけど、トラウマを背負っている苺綺のことを責められなかったんだ。
けどな、海。
俺は今でもお前のことを―――。
恋はいつだって、関係を複雑にする。
言葉は消せないし、忘れられない。
なぁ、海。
今でも海は俺が言ったあの「好き」を、覚えてくれてるか。
俺が言った言葉に、嘘も偽りもない。
全部が、海への本当の言葉で、俺からの愛が確かに存在した。
