「ありがとう」






冷たかった涙が、温かい涙に変わる。



だけど、私の心は空っぽのままで。


失恋した傷が、すぐに癒えるはずもなく。




ふと窓の外を見ると、本格的に雪が降ってきた様子で、街は白で覆われていた。



雪の儚さは、まるで恋の切なさのよう。

雪の冷たさは、まるで私の涙のよう。





『この恋、賞味期限切れ』のストーリーを思い出した。




『恋が甘いなんて、誰が決めたの?
 私の恋は、おかしいの?
 賞味期限が切れているのかな。
 私の恋は、まったく甘くなんてなくて、切ないほど苦いの。
 賞味期限が切れてしまった私の恋は、きっとこれからも甘くない。
 それならいっそ、忘れてしまいたい。
 だけど、忘れるなんてできない。
 だってこれは、私の初めての恋だから。』




好きだった男の子に振られた女の子が主人公の気持ち。


その気持ちは、今の私の気持ちと似ている。





甘さがある恋が、恋じゃない。


甘さよりも、苦味が多いこの恋は、初めてな分、さらにビターに感じる。