陽介の口から「苺綺と付き合うことにしたんだ。別れてくれ」なんて、聞けなかった。
そう言われたら、今でもボロボロな私の心は、さらにボロボロになって、壊れてしまいそうで。
私は、逃げたんだ。
陽介の前から、笹道さんの前から。
姿を、消したくて。
信じられなくて、ごめんね。
陽介のそばにいられて、幸せだったよ。
涙はそんな想いをのせて、流れ落ちた。
家に着いて、ただいまも言わずに自分の部屋に入って、ベットに倒れこむ。
「海、どうしたの?『ただいま』くらい言……、……海?」
私の部屋の扉を開けて入ってきたのは、空だった。
その後ろには凪雲くんもいた。
今、家の中で明日行うクリスマスパーティーの準備をしていたのだろう。
私は参加しない予定だった、そのパーティーの。



