空を見上げると、静かに雪が降ってきた。
白くて、冷たくて、淡い雪。
手のひらを出して、その上に雪が落ちる。
その雪はスーッと、手の温もりに溶けていく。
まるで、私の恋のようだ。
まだ耳には、さっきの陽介の「海」と呼んだ声が残っている。
忘れてしまいたのに、忘れられない。
愛しい愛しい、大好きな人の声。
ツーッと、頬を滑る大粒の涙。
彼を想って泣くこの涙は、私の愛が詰まっている。
「うっ……、ひっく、うぇ……っ」
できるだけ声を押し殺して、私は泣いた。
初めての恋の終わりって、こんなにあっけないものなの?
切なさと悲しさが込み上げて、陽介と過ごした思い出が脳裏に浮かぶ。
好き。
私の想いが変わらなくても、雪のように消えてしまった恋。



