「苺綺…!?」
「だからごめんね、遊理さん」
笹道さんは自分の腕を、陽介の腕に絡めて、微笑みながらそう言った。
ごめんねって言われてるのに、そう言われてる感じがしない。
ざまぁみろ。
そう言われているようで、仕方なかった。
『あの子、多分“自分”を隠すのが上手よ』
不意に思い出した、空の言葉。
これは、笹道さんの“素”なのだろうか。
それとも、偽っているのだろうか。
もう何もかもがわからなくなって、世界から色がなくなっていく。
もう嫌だ。
こんな想いすると分かっていたのなら、私は…………。
「陽介、バイバイ」



