「海!」 後ろから声が聞こえた。 その声は、聞き間違えることのない、愛しい人の声。 振り向きたくない。 今、顔を見たくない。顔を見せたくない。 私は、陽介を信じたかった。 信じたかったのに、……信じられないよ。 涙が目尻に溜まって、視界が歪む。 恋がこんなに苦しいなんて。 幸せは崩れて 運命は動いて 恋が、わからなくなる。 ねぇ、陽介。 陽介は私のこと、本当に好きだった?