陽介は目を丸くして驚いていた。 そんな陽介を見て、笹道さんはニコッと笑う。 そして―――陽介の唇に、笹道さんは自分の唇を重ねた。 キスを、したんだ。 私はその光景に、目を疑った。 え?何してるの、笹道さん。 なんで、なんで。 なんでキスしてるの? 胸が鷲掴みされたように、苦しい。 息をすることも、立っていることさえも苦しい。 やだ、やだ。 やめてよ。 そう言って叫びたいのに、離れさせたいのに、どうも足が動かない。声が出ない。