ドクン……。 嫌だ、嫌だ。 見たくない。 まるで笹道さんが、陽介の彼女みたい……。 ――違う! 彼女は私。 わかってるのに、どうして…… 不安しか抱けない。 「ねぇ、陽介」 笹道さんの声が、なぜかクリアに聞こえる。 笹道さんと私との距離は結構あるのに、どうしてこんなにもはっきりと聞こえてくるんだろう。 神様の、嫌がらせかな? 「ん?」 笹道さんの呼びかけに、陽介は笹道さんの方に顔を向ける。