「ねぇねぇ、あの人かっこよくない?」
「あ、本当だ。かっこいい~」
ふと、近くの女の子達がそう言っているのが聞こえた。
誰だろう。
気になって、女の子達が見ている先を目で追う。
そこには
陽介の姿があった。
「陽介……」
陽介も駅に来ていたなんて。
ていうか、さすがだなぁ。
すれ違った女の子たちにかっこいいって囁かれちゃって。
私は自分のことのように嬉しくなって、「陽介!」と声をかけようとした。
しかし。
駆け寄ろうとした足を止め
「陽介」と呼ぼうとした声が、消えた。
だって陽介の隣には、笹道さんがいたから……。



