劇は着々と進んでいった。
失敗もアクシデントもなく、順調に。
そして物語は、告白するシーンを迎える。
「好きなんだ」
凪雲くんが演じる役が、私が演じる役に告白するシーン。
私はその言葉に驚き、目を伏せる。
「ごめんなさい。私は今でも……」
「わかってる。だけど俺は」
「好きになってくれて、ありがとう」
凪雲くんのセリフを遮って、ヒロインは微笑んで言うんだ。
きっとこのセリフの裏には、たくさんの涙がある。
私はそう思いながら、そう言った。
「だけど本当に……」
ごめんなさい。
そう言う前に、私は観客の方を見た。



