「よ、良かったんですか?」
「いいのいいの。…次どっち?」

桃ちゃんはハッとしたように言った。

「あっ、そこを左で、あの、公園あるんでそこでいいです」

なんとまあ、控え目な。
ここまで来ちゃったらどっちでも大差ねーだろ。

「え、家まで送るけど」
「め、滅相もない!そんなご迷惑をかけるわけにはいきませんから!」

首がねじ切れるんじゃないかと不安になるほど、振っているらしい。
ぼんやりとした影でそれがわかる。

「いいのに、気にしないで」
「大丈夫なんです、あの、公園から徒歩3分くらいなんで…」

3分。
そりゃまた微妙な距離だな。

「暗いし、危ないでしょ」
「あはは、あたしを襲うような変わった人はいませんよ」

桃ちゃんは後ろでケタケタ笑った。
俺の周りには、やっぱり明らかにいないタイプ。

「なんで?桃ちゃんかわいいのに」




バカな子ほどかわいいっていうしね。
あ、なんか違うか。