甘くてさっきの憂鬱さが嘘みたいに晴れた。 「うーん。」 あたしは背伸びをした。 「あ、元気出たんだ。」 「うん。」 小十郎によると元気が回復する時必ず背伸びをするらしいです。 「流石だよ。」 「まぁね。」 小十郎君の前世は長州藩士で、間者としていたんだって。 だから、人の癖を見つけるのが得意なんだとか。 キーンコーンカーンコーン 「あ、チャイムなったね。僕は席に戻るね。」 「うん。」 「あとこの一時間だけだから、頑張ってね。」 小十郎君はあたしにそう言うと自分の席へと戻って行った。