急にお兄ちゃんが真剣な声でいうから無意識に背筋が伸びた
「な、何?」
『今から一人そこに迎えにいかすから。』
「分かった。」
『そこで頼みがある。そいつ今補習っていう居残りを1人でしてると思うから課題を全部終わるまで…いや、会議が終わるまで見張っといてくれ。』
『見張るって酷いなー。』
微かに電話越しに聞こえる男の子の声。
『お前は黙ってろ。…で、よろしく頼むな。今日は帰りに甘いもん沢山買ってやるから。』
「わかった。任せて!甘味と二人でやるから。」
『ごめんな。それと西郷理事長にも会議参加してもらうから言ってやってくれ。じゃあな。』
ツーツー
そこで通話が切れた。
あたしはケイタイをしまって西郷さんの方に向いた。
「西郷さん、今から会議だそうです。それと甘味を返して。」
「仕方ないな。ほら。」
「ありがと。」
「入学の件はまた土方に言っておく。仕事も頑張れよ。」
「うん。…って、西郷さんあたしのお兄ちゃんの事と歌手の事知ってるの?!」
「まぁな。じゃ。」
それだけいうと西郷さんは行ってしまった。
一人残されたあたしは今から来る男の子を待った。