幕末の狂い咲きの桜の下で…




『え?この人が高杉?』

そばにいるのがかの有名な高杉晋作。


少し震えた声でジッと高杉を見る黒羽。

小さい黒羽は見上げる形で高杉を見ているため…

「上目遣いとかなに?この小動物。

可愛すぎやしないか?」

高杉は黒羽を持ち上げニコリと笑う。

狭い廊下にワラワラと人が集まり大変なことになっているが、可愛いという言葉に頷く者が数名…
黒羽に触るんじゃねーっというように殺気を出す人数名。

『えっと…たか、杉さん?』

「晋作でいいぞ。」

『しんさく?』

小さい頃の癖で名前を復唱する黒羽にそうそう。と頷く晋作。

「そろそろ、黒羽を離せ馬鹿杉。」

馬鹿じゃねーしっと突っ込みながら渋々黒羽を床に降ろし、思い出したように話し出す。

「玖龍という男が最近この辺りで暴れたらしくてな。

なんか、知ってるか?」

それに一と鴨は少し顔をしかめる。


事が起こった後の乱れ用がひどく、少し落ち着いたのであまり黒羽の傷に触れて欲しくない。という気持ちなのだろう。


「そこの奴知ってそうだな。つか…壬生浪!?」

今更気付く晋作に馬鹿だと思い呆れる龍馬達。

それとは異なることが黒羽の脳内に渦巻くように…走馬灯のように駆け巡る。

…数時刻前の巡察の出来事である。