「ここは…」


眉を潜め一,がつぶやく。


「いいのか?玖龍。」


黒羽は一,を少し見つめ小さく頷き周りを見る。


近くにある人の気配を感じたのだ。


『以…蔵、?』


気配の主の名前を小さく呟く。


その黒羽の目には涙が溜まり今にも溢れそうだ。



「おい、玖龍。

ここに何のようなんだ?」



土方の殺気溢れる声に恐怖心を抱く黒羽だが、


一,がその黒羽をなぜか一撫でして鴨を見る。



「芹沢さんは…こいつの過去、しっているんですよね。」



ぶっきら棒な言い方だが何処と無く優しい言い方だ。



あぁ、と答える鴨に何故か小さく頷く一。



『一?』



少し震えた声で




"貴方にも教えますね。いえ。たぶん今日知れますよ。"




優しい斎藤にニコリと小さく微笑んだ。




行こう。



ここまで来たんだ。



行かなきゃ何も始まらない。



自分を説得するように寺田屋に足を踏み入れようと歩き出すと…