あたしだって、好きな人くらいいたよ。 卒業式の次の日、翔馬は引っ越したらしい。 あの日以来、翔馬の姿は見ることは一度もなかった。 チロリロリン。電話だ。紗香からだ。 「どうしたの?」 《い、今コンビニの前なんだけど、みちるの昔好きだった人いるよ!》 「えー?顔知ってるの?」 《知らないけど、名前言ってたでしょ?翔馬?だっけ?》 「そうだけど、翔馬なんて沢山いるよ!人違いでしょ、第一翔馬引っ越したし…」 《間違いないよ!バスケのボール持ってるし、背すごい高いよ!早く来て!》