「お前ってさ、本当運動音痴で頭悪くて可愛くないよな」


はぁ…また始まった…。


私の悪口話……。


付き合ってからほぼ毎日この話だ。



「うぅ……だってそんなこと言われても…」


竜みたいに運動神経良くないし?

竜みたいに頭良くないし?

竜みたいにモテないもん…。



──ガタッ


いきなり竜は立ち上がって私の方を見つめる。



…………………。


…………。


……。



な、なにこの沈黙…


ていうか、なんで竜は私を見ているの…?



「なぁ、梨沙」


「えっ!?」


竜が…私のこと名前で呼んでくれてる。


いつもは『お前』って呼ぶのに!?


名前で呼ばれるの初めてだよね…?



「バーカ。何期待してんの」


クスクスと笑いながら言ってくる。


はぁ…少し期待したのに…。


やっぱり、竜はイジワル。


イジワル過ぎるよ…。