ほんのひととき





あたしは、この世から消える事に不安を覚えた。
あたしが消えても、誰も困らない事に気がついてしまったから。
いなくなった所で、誰も、困りはしない。

でも、あたしを産んでくれたお母さん。
血は繋がってないけど、ここまで育ててきてくれたお父さん。
10年も後に生まれてきた、妹。
何もしてあげられないまま、家族に迷惑かけるのも嫌になった。
あたしが唯一、信じれる親友にも迷惑はかけたくなかった。
何よりも、今までそうやって自分から命を絶ってしまった人達に、顔向け出来るような理由じゃない。
“消える”っていうのは、“死”を意味する。
生きてる実感なんて、誰も無い。
多分、死に際になって「死にたくない」って嘆く人の気持ち。
やっと分かった。
生きてるって“わからないもの”なんだ。
実感なんて、誰もしてない。
あたしだけがしてない訳じゃない。
…でも、分かったのはそれだけじゃない。

苦しくて、苦しくて、助けを求めても。
“助け”は来ないっていう事。
自分が自分を守って行くしかない。
どんなに傷ついても、その傷は自分以外の人には癒すことは出来ない。
助けは来ない。
生きてるのは分からない事。
あたしは、不安に押しつぶされそうになった。
学校も怖くなった。
家にいても、落ち着かなかった。

死に際になって、「ぁあ、あれもこれも」って悔いばっかり残る生き方より。
いつ来るか分からない“終わり”の存在を恐れずに、毎日を楽しく生きて、死に際になっても「楽しい人生だった」って言えるような生き方の方が良い。



心の中で、胸騒ぎがした。

「じゃあどうやって生きるの?」