ほんのひととき





何も求めなかった。
求められなかった。
裏切られるのが怖くて。
でも、話せる友達がいてくれるのはすごく心強かった。
この人達なら、分かり合えると思った。
だから毎日が楽しくなった。
周りなんてどうでもいい。
あたしがあたしでいられるなら、どうでもいい。
自分は見失わないように。
正しい道を、踏み外さないように。
まっすぐ前だけを見ていれば良い。
関係も、この際何でも良かった。

ある日、告白された。
違うクラスの男の子だった。
普通に仲が良かっただけなのに。
こんな奴でも、好意を持ってくれる人はいるんだってちょっと嬉しかった。
あたしは真剣に受け止めようと、考えた。

…けど。
その男の子は、“嘘告”であたしに告白しただけだった。
嘘でよくそんな事が言えるもんだ、って強がりを言って。
学校では笑っていた。
でも家では独り、泣いた。
わんわん声を出して泣いた。
その男の子が好きだった訳じゃない。
気になっていた、とかそういう訳でもない。

ただ、嬉しかった。
嘘だと知る前は。
こんなやつなのに、そういう事思ってくれるひとはいない訳じゃないんだ。
そっか、ちょっとは自信持っても大丈夫かな。
完全に浮かれていた。
調子に乗ってしまった。