ほんのひととき






少ししか接点も無いのに、話しかけるなんてあたしには出来なかった。
そして、気になっているって事に気付いても。
誰にも相談したくなかった。
相談なんかしたところで、何も変わらない。
信用できない人になんて本当の事なんか、話す気にもなれない。
あたしには、あたしなりの感情があるのに、周りは皆。

「あの子はあの子が好きなんだって」

「振られちゃったらしいよ」

「カホちゃんはあの子が好きなんでしょ?」

「仲良いもんね」

噂が噂を呼んで、あたしには好きな人がいる事になってた。
皆が勝手に。
あたしは…………。
もう、考える事もしたくなかった。
あたしの事なんて知らないくせに。
なんでそうやって決め付けるの。
じゃあ、“好き”って何。

満場一致で、決め付けるのが“好き”なの?
なんなの。
恋愛って何。
そもそも、そんなコマンドは人間には無い気がする。
血も繋がって無いのに、赤の他人と一緒にいる事になんて意味無いじゃん。
あたしはあたしなりに生きてる。
あたしを裏切った友達だって、その人なりに生きてる。



風があたしを嘲笑った。



「じゃあ、“信用”って何?」