ほんのひととき






とうとう、紅い紅い紅い…どろっとした生温い液体が、あたしの腕から滴り落ちた。
堕ちていった。
朽ち果てるような感じ。
底の無い、暗い暗い暗い…暗黒の壺に蓋をされた。
どうしていつも、上手くいかないんだろう。
どうしてこうも、あたしの周りにいてくれる人達を傷つけてしまうんだろう。
何であたしは、刃物のように…鋭い言葉しか発せられないのだろう。
そう、悩む度に、自分を傷つけていった。
心の中には、もう1人のあたしがいた。
その子はあたしが小さい時から存在していた。
その子は悪知恵がよく働く、意地のとても悪い子だった。
優しいあたしは、心の中に1人として存在しないのか。
そんな事を考える暇なんてものも無かった。
ただ、その子だけが“あたし”を理解してくれた。
あたしの中にぐるぐる回り続ける、どす黒い感情も、理解してくれた。
どんな時も、分かってくれた。
それは…あたし自身だから?
どんな理由でも構わない。
この世界で、あたしの事を理解してくれるのは……この子だけ、なんだから。
そう、この子に頼った。
『どうすれば良いのかな。』
尋ねた。
いち早く、あたしの苦しみに気づいてくれると思ってた。
すると、その子はこう言った。
『“自分がいけない”、そうやって人をかばって生きて何が変わるの?』
………どうしようも無い、愚問だった。
あたしは、甘えてた。
この世界に生まれおちた事を後悔して、自分を憎み、どこかでそんな自分がヒーローを気取ってた。
……………死ね。
白く、明るく照す、蛍光灯の光が昔から嫌いだ。
あの、矛盾を照らし出すような、冷たい“光”が……怖かった。
どうしたら、理解してもらえるのだろう。
もしかすると、一生誰にも理解してもらえる事無く、消えて逝くのかも知れない。
どうか、助けてください。

そんな惨めな願いを、神様は見放した。

「…………クズは消え去れ。」

そう、言われたような気さえした。