私と沙奈ちゃんは学校を出て

10分くらいしたところにある可愛いカフェにはいった。

「なに頼むー?」

「んーパンケーキ食べたいな」

私は生クリームとストロベリーのパンケーキを頼んで

沙奈ちゃんはイチゴパフェを頼んだ。

あとココア。

「本当久しぶりだね!」

沙奈ちゃんが笑顔で言ってきた。

「そーだね!また会えて嬉しいな」

正直この学校には知り合いはいないと思ってた。

だから沙奈ちゃんに会えたのは凄く嬉しい。

「あと翔もいたよね!」

「翔君に会ったんだ?!」

ん…?

沙奈ちゃんの顔色が変わった。

もしかして…

「好きなんだ?」

「えっ…なっなんで?!」

おお動揺しまくってる。

なんて可愛い子なんだ。

「りっ理央もいるよ」

「あ…うん、隣の席なんだ」

「あ、そなの?」

沙奈ちゃんは私と理央がなんで別れたか知らない。

「お待たせいたしました、ココアです」

かなり早くココアがきた。

「どうも」

ココアを受け取って一口飲む。

沙奈ちゃんがゆっくり口を開く。

「あのさ、なんで別れたのか聞いていい?」

聞かれるとは思ってたけど、直球だな。

「私が引っ越すことになって…なにも言わないで理央から逃げたの」

「え、じゃあ理央引っ越すまでそのこと知らなかったの?」

わたしは頷いた。

「…なんで?」

「言えなかったの…

でももし言えてたらちゃんと話し合ってたら

自然消滅なんてことにはならなかったのかな…」

そうだよね…。

理央はちゃんと待っててくれるよね。

でもあの頃の私はそんなことも知らなかった。

私は全部から逃げたんだ。

「理央ねかもっちが居なくなってからかなり荒れてね、

この高校なんてもちろん志望校にも行けるかわからないぐらいだったんだ…」

私がなにも言わないで居なくなったから

理央を心配させて困らせて辛い思いまでさせた。

「まさか引越しのこと知らなかったなんてね」

私達も知らなかったけどね、と少し笑いながら言った沙奈ちゃん。

「私友達の中で沙奈ちゃんが一番好きだったの…

引越しのことも沙奈ちゃんには何度も言おうとしたんだけど…」

「え…じゃあなんで引っ越した後、携帯変えても連絡先くれなかったの?」

沙奈ちゃんが悲しそうな顔をする。

「…それは…帰りたくなるから…

皆に会いたくて仕方なかったから…

理央に会いたくて…仕方なかったから」

連絡なんてしたら我慢なんて出来ない。

「そっか…そうだよね…

帰ってこれるかもわからなかったんだもんね」

少し重たい空気。

「うん…お母さんが死んじゃって戻ってくることになったんだ」


「え…かもっちのお母さん、亡くなったの?」

沙奈ちゃんは本当にびっくりしたようで口が少しあいたまま固まっている。

「うん、そうなの。

でもなんでか私泣けなくてさ…」

そう、私はお母さんが死んだのにまだ泣けていたない。

悲しい筈なのに。

どうしても泣けなくて…。

「…そっか…」

沙奈ちゃんが泣きそうになっている。

「泣かないで!私は大丈夫だよ!」

優しいな沙奈ちゃんは。

本当に人思いで…。

「お待たせいたしました。

生クリームとストロベリーのパンケーキとイチゴパフェです。

ご注文は以上でよろしいですか?」

「はい、大丈夫です」

わたしが答えると店員さんは戻っていった。

「さっ食べよ!」

気まずい雰囲気の中私はせっせとパンケーキを口に運ぶ。

うん、美味しい。

私が無理に明るくしてるのに気づくと

沙奈ちゃんは慌ててパフェを口にした。

その姿がなんとも可愛くて笑ってしまった。


「美味しい!」

沙奈ちゃんはほっぺを赤くして美味しそうに食べる。


「翔とは仲いいの?」


「ぜっ全然…!…ただ挨拶とかするくらいなの」


「なんでも協力するからね!」


「あっありがとう」


照れながらせっせとパフェを口に運ぶ。


「理央とは話せてないの?」

「あー…はは、お前誰だっけっていわれちゃったよー」


軽く笑いながら放った言葉に涙が出そうになる。


「忘れてるはずないのにね」


沙奈ちゃんが小声で何か言った。


「ん?」


「なんでもないよ!理央も混乱してるんだよ!」


「そーだね」


その後私は話題を変えた。


これ以上涙をこらえる余裕がなかったから。


そう、混乱。


私のせいで私の知ってる人みんなが混乱してる。


翔だって顔には出さなかったけど、絶対混乱してた。


私にどう接していいのかわからなかったと思う。


沙奈ちゃんだって。


私のせい。


勝手にいなくなってからのこの2年間は皆にとって、私にとって、とてもとても大きな傷になったきがする。