『お腹の大きなあんたを見つけてさ。あんたは気付いてないようだったけど、強い力を感じたんだ。フラフラ~っとそのままついてきた…みたいな?』

「え…なにそれ…迷惑な…。」

『あんたはまだ気付いてないだろうけど、強い力があるんだぜ。気を付けねーと。』

佐々木さんはそういうが、自分の力がそれほど強いとは思えない。
よく分からないが、思わず自分の手を見つめる。

『この家にいる間は心配ねーよ。シズルもいるしさ。』

佐々木さんがシズルさんのほうを見て言った。

「あ…!!佐々木さん、シズルさんのこと見えてるの!?」

『へ?当たり前じゃん?俺も死んでるし。』

さらりと佐々木さんが言った。

「そ、それはそうだけども…。」

シズルさんは佐々木さんに名前を呼ばれて恥ずかしいのか、さっきよりもうつむいている。

「ところで、シズルさんはいつからここにいるの?」

シズルさんへ聞いたが、彼女が答える前に佐々木さんが口を開く。

『シズルは俺を見てここへ来たんだよな。俺に惚れてるから。』

にっこり笑いながら佐々木さんが言った。

シズルさんは顔を真っ赤にして、しゃがみこんでしまった。

「…え?佐々木さん、シズルさんの気持ちに気付いて…?」

『あったりまえじゃん!めっちゃわかりやすいし。』

…確かに分かりやすいけど…。

それを知って、佐々木さんはどうしたのだろうか?私は不思議に思い、佐々木さんに聞いた。

『ん?何もしてねー。俺、死んでるし。別に彼女とかほしくねーし。』

「えー!!ひどい!!シズルさんの気持ちに気付いてるのに、何もしてあげないの?」

『ひどいって…。何かしてやろうにも…見てろよ?』

佐々木さんは立ち上がってシズルさんへと近づいた。

するとシズルさんはビクッとし、バッと立ち上がったかと思うとシュンッと消えてしまった。