座って待ってろと言われたけど、ハラハラして大人しくしていられそうもなくて。 「あの、手伝ってもいいですか?」 私が遠慮がちに聞くと、桜庭さんは。 「……悪い、頼む」 玉ねぎが染みてしまったんだろう。 潤んだ瞳を腕で拭いながら、私に包丁を託した。 何でも完璧にこなせるように見える桜庭さん。 けれど、どうやら 料理は苦手のようです。