「じゃ、呼んだら中に入ってきてね」

先生はそれだけ言い残して教室へ入っていった。

教室の中からは生徒たちの騒ぐ声が聞こえる。

「今日は転校生を紹介します。
どうぞ中に入ってきてください」

私は緊張しながら中に入った。
黒板の前に立つとさっきまで騒がしかった生徒たちの視線が一気に私に向けられた。

「如月さん、自己紹介してくれるかな？」
「如月 海夏です。
これからよろしくお願いします」
「皆んな、仲良くするんだぞ。
如月さんの席は窓側の1番後ろです」

私は、先生に言われた席に座る。
だけど、何故か私の左側の席は空席だった。

「じゃ、HRを終わります」

先生が教室を出て行くと、前の席に座っていた腰くらいまでの黒髪の女の子が私の方へと振り返った。

「私、野崎 華〈ノザキ ハナ〉。よろしく」

華と名乗ったその子はお姉さんみたいな雰囲気で綺麗な顔立ちをしていた。