ごめん、好きすぎて無理。






『…………紗奈』




俺はユックリと紗奈の方に歩いていく。



手を差し出せば紗奈に触れられる、その距離まで来たところで、俺は紗奈の目を見つめた。








『紗奈、ちゃんと教えて。
 紗奈のお腹の子の父親は誰なの?』





俺が問いかけるも紗奈は首を横に振って答えようとはしない。







『紗奈』




俺の呼び掛けに、紗奈は息を呑む。









『紗奈、大事なことだから、ちゃんと教えて。
 紗奈のお腹の子は、あの時の…なの?』






紗奈と最後に会ってからの日にちと、紗奈の妊娠の週数、合わない気もしたけど。


確か紗奈が初めて妊娠した時、色々調べている中に、最終月経開始日を0日目と数えるって…



だとすれば、俺がそれに当てはまってもおかしくないはず…








『………陸、言えない………』




それでも紗奈は首を横に振り続ける。







『紗奈、ちゃんと言って。
 無理矢理お前から赤ちゃんを奪おうなんてしない、そう約束するから』