ごめん、好きすぎて無理。







『…………紗奈、お前、どういうことだ…?』




海の言葉に、紗奈のお父さんもお母さんも、紗奈を見つめ、そう問いかける。





問いかけられた紗奈は、一度目を瞑り、そして開くと共に口も開いたー…









『海、お父さん、お母さん。

 お腹の子の父親は、言えません…。

 私がどうしても彼の子どもが欲しくて、無理強いしたの。

 だから、全部私の責任、だからその人の名前を公表するわけにはいきません…』






紗奈はそっと自分のお腹に手を当てる。







『…………紗奈、まさか……。
 お腹の子の父親は……彼、じゃないだろうな!?』





そう言って、紗奈のお父さんは俺を指さした。



突然紗奈のお父さん、そして紗奈のお母さんのなんとも言えない顔に見つめられ、そして海までもが眉間にしわを寄せて、俺を見つめるー…










『………お父さん、彼には関係ない…関係ないの…』






でも紗奈のお父さんは俺の方まで歩み寄り、俺の服の襟を掴んだ。



突然グイッと掴まれ、俺は顔が…天井の方に向いた。


少し呼吸が苦しいくらいに掴まれ、俺はユックリと視線を紗奈のお父さんに向けた。









『………お前か!?
 また、…またお前なのか!?』








怒った顔に、低い声ー…



俺は何も言えずに、ただお父さんの顔を見つめる。








『やめて!お父さん、やめて!!』




紗奈はお母さんの制止を払いのけ、ベッドから床に降り、そして俺達の元まで走り寄った。








『止めるな、紗奈!
 こいつが……こいつがまたお前を…!』






『陸は悪くない!
 陸にそんなことしないで!言わないで…!』








紗奈は俺の襟もとを掴んでるお父さんの腕を掴み、俺の襟もとから離そうと必死になった。