『……妊娠?』




紗奈のお父さんが女医、そして紗奈のお腹を見て、そう問いかける。







『えぇ…先程検査をして、そうですね…13、14週目辺りかな…
 現在は妊娠四カ月、もうすぐで安定期になるかな、って辺りですが、今回は切迫流産でこちらに搬送されています』




『……切迫流産…?』



紗奈のお母さんが女医に問いかける。






『切迫流産とは妊娠22週未満の時期に流産になりかけている、その状態の時につけられる診断名です。

 超音波で確認したところ、赤ちゃんの心拍は確認できましたし、このまま安静状態を保ってもらえれば妊娠継続は十分に出来ますよ。


 ただし、精神的にも安静でいてもらわないといけませんが!』




女医の言葉に、紗奈は少し複雑な顔をする。






『…とりあえず、自宅に戻られても私が許可するまでは、トイレ、食事、お風呂以外は全て布団もしくはベッドの上で過ごしてもらいます!

 それがお腹の赤ちゃんを守ること、なんだけれども…ご自宅に戻られることは可能ですか?』



女医は今度は紗奈のお母さんに問いかける。





『……え……あ、はい……』






『じゃ、明日の午前中にもう一度検査をして、何もなければ明日退院ということで』




女医はニッコリと微笑んで、手をヒラヒラさせながら、病室から出て行った。