『海さ、彼女の親と会ったこと、ある?』



俺は海にそれとなく聞いてみる。




『あー…実は結納の日が初めてなんだよね。
 紗奈さ、今まで俺を両親に会わせてくれなくてさー。
 
 結婚前提で付き合ってる、とは親には言ってたみたいなんだけど。
 俺もきちんと挨拶したかったんだけどさ…』







…だよな。



多分、紗奈は海を両親に会わせていない、そう思ったんだ。



だって、俺と海は双子、顔なんてすげー似てる。


だから何も知らない海を実家に連れていけば、紗奈の両親が海を見て、きっと俺だと勘違いする。



だから、紗奈は海を親に会わせていない、そう思ったんだ。









『……そっか。』




だから、俺は海に紗奈とのことを話さなければいけない、そう思ったー…







『まぁ…あれかな。
 紗奈もずっと待ってた人がいた訳だし。

 そういうのもあって俺を親に会わせたくなかった、と、思ってんだけど!』



海は斜め下に視線を向け、そう言った。










『なぁ…海。
 もし、お前の予想を遥かに超えた理由があったとしたら、どうする?』