車を走らせること一時間。
海沿いのところまで来て、俺は海の方に注意しながら車を走らせた。
『………紗奈………』
辺りは暗く、夜の海は真っ暗にしか見えない。
その中で紗奈の姿を見つけるのは難しいー…
俺は海の入り口付近に車を止めて、車から離れ、砂浜を歩く。
紗奈がここに来るかなんて分からない。
例え紗奈がここに来ていたとしても、無事に紗奈を見つけられるか……
と、思っていた時ー…
俺の目に海の中に入っていく人が飛び込んでくる。
『………まさか…!』
俺はその人の所まで走り寄り、砂浜からその人物に向かって叫んだ。
『紗奈ー!』
俺に呼ばれたその人はこちら側に振り返る。
そこでハッキリしたのは、やっぱりその人物が紗奈だということ。
『………紗奈…!』
俺は海の中で立ち止まった紗奈の元へと、海の中に入っていく。
でも紗奈は俺に背を向け、そして再び海の中に入っていった。