約1ヶ月前



家へと向かう帰り道、私は机の奥に小説を忘れていることに気がついた。




「・・・最悪。あともうちょっとで家に着いたのに」




今きた道を折り返して、もう一度電車に乗る。



電車に揺られながら本を読むというのに憧れ、家を少し遠い場所に借りたけど、こういうときは不便だ。



学校に着いたときにはもう日が沈み、星が見えていた。




月曜日というだけあってか、それとも時間が遅いせいか人の気配が全くと言っていいほどない。



「はぁ、校門閉まってるよね・・・よし、登るか」




誰にも見られていないことを確認し、校門に登った。つもりだった。 





「おい、お前。何してんだ?」



「え、何って、門を登って中に入ろう、と・・・・・・げっ」





これが私、鹿波 葵(かなみ あおい)と神崎 優(かんざき ゆう)の出会いだった。