「言われなくても」 そう言うと、私の顎を綺麗な指で掴んで、私の顔を先輩の方に向かせられる。 街頭に照らされた先輩の顔は、悲しい中に照れたような表情が含まれていた。 そして引き寄せられるように、2人の影は重なった。 いつもより少し強引に入ってくる。 そんな先輩がたまらなく愛しい。 「……す、きっ」 キスの合間に伝える好き。 先輩はそれに応えるように、微笑んだ気がした。