「陽菜……まだ元気ないのね……」
花香ちゃんが寂しそうな顔をする。
いつもなら心配かけないようにって、無理やり笑顔を作るところだけど、今はそんなこともできない。
文化祭なんてなければ良かったんだ。
そうしたら、翼先輩と距離が開くこともなかった。
大希くんが私に気持ちを伝えてくることもなかったかもしれない。
大希くんにキスされかけたあの日は、気まずいまま教室に戻り白雪姫の練習をした。
気持ちが余計に曇ったままじゃ、元から上手くいかなったから上手くいくわけがなかった。
そのまま文化祭当日を迎えてしまった。
気持ちはまだ曇ったままいっこうに晴れる気配すらない。