先輩に手を振り、お互いの教室に向かう。 「翼先輩……」 ポツリと名前を呟く。 ただ名前で呼ぶだけで、少し近づけた気がする。 私は先輩の彼女として、また一歩近づいたに違いない。 笑みが零れる。 嬉しいな。 そんな気分で教室に向かっていると、もうすぐ授業が始まるから人はいないのに、目の前に誰かが立ちふさがる。 誰……? その人物に顔を向けると、どこかで見たことがある顔。 だけど、同級生ではない。