何でそんな真剣な顔して言うの。 前みたいに嘘でしょ? からかってるんでしょ? またバカにしたように鼻で笑ってよ。 「陽菜のこと返してもらうから」 大希くんはそれだけ言うと、私たちから離れて行った。 その後ろ姿をボーっと眺める。 さっきの言葉を理解するにはまだ時間がかかりそう。 今は頭の中がパンク寸前で考える余裕なんてこれっぽっちもない。 大希くん……。