家を出ると、やはり同じタイミングで

向こうから流可が出てきた。

その姿を見るだけで鼓動が高鳴る。

ドキン…ドキン…ドキン…ドキン…

ど、どうすればいいのかわからない。

ほっぺたどう?って聞ける感じじゃないし、

昨日のことをわざわざ話題にしたくない。

そんな私に気づいた流可が

だんだんこっちに来る。

とうとう流可が私の前に来て、

私は色んな意味でドキドキしながら

流可がなんていうのかを待つ。

トクン…トクン…トクン…トクン…

…けれど

「優奈、おはよ。今日も晴れてよかった」

……え?

「けど午後から雨降るらしい。
傘は…あ、ちゃんと持ってるか。
じゃあ行こ」

そう言って微笑む流可に動揺を隠せない。

ふつう…?

私と違って、いつも通り…

はっとして

心の中で自嘲気味に笑う。

…そっか。

なかったことにしたいんだ。

昨日私を抱きしめたことも、キスも、

…私の気持ちも。

そうだよね。

二度と言うなって…そう言われたもん。