「よし、できた。
次はメイクね」

「え、ちょっと待って、メイク??」

私が慌てて聞き返すと舞はニヤリ。

「そーよ?可愛くしてあげようと思って」

「…私のためなんかに使ったらメイク道具がかわいそう」

「なーに言ってんの。
ほら、座って?メイクっていっても優奈はグロス塗るだけかな」

そう言われてしぶしぶ舞の前に座る。

と、丁寧にグロスを塗り始めた。

「…うん、やっぱりこれで正解」

そう言ってにっこり笑う舞。

「…グロス…初めてつけた…」

「みたいね。でもすごい似合ってるよ」

そう言われて唇をそっと触る。

グロス…かぁ…

…流可、なにか言ってくれるかな…

…って!グロスくらいで気づくわけないよね!

期待はしない!

そう思って頭をぶんぶん横に振ると、舞が不審そうに私をみたのではは…と愛想笑い。

「ストーカー、いつくるの?」

「そろそろかな…舞はいつお迎え?」

「私もそろそろ。帰って用意するね」

そう言って立ち上がった舞に声をかける。

「舞っ、頑張ってね!」

「な、なにをよっ?」

そう言う舞にニヤリと笑みを返す。

「っ…ば、バイバイっ…」

「うん、バイバイ。今日はありがと。また明日ね」

「うんっ」

そうして舞は帰って行き、

私はなんとなくグロスを気にしながら流可を待った。