優しい音色、かっこいい音、楽しそうな音…。

もう聞きなれた音を耳に、足を走らせる。

そして、今日も大好きな楽器と先輩がいる3-7組の教室に向かう。

私は、澤田音葉。吹奏楽部でアルトサックスを吹いている中学一年生。

「先輩、こんにちは」

「あ、音葉。待ってたよ」

そう声をかけてくれたのは唯先輩。

彼女の名前は神田唯。私と同じアルト担当。

中学二年生の後輩想いの先輩。

きっと、いや絶対唯先輩のことが嫌いな1年はいないぐらい後輩に好かれている。