菜々の胸がまるで期待するかのように小さく音を立てたが、彼は思い直したように姿勢を正し、右手の親指で菜々の涙をそっと拭った。菜々は期待してしまったことを悟られないよう、急いで口を開く。
「あの、何か飲める物を探してきます。賞味期限の切れてないのがあるかも……」
永輝が菜々の目元をもう一度親指でなぞり、もう涙がこぼれないことを確認して、口元を緩めた。
「じゃあ、俺は部屋の空気を入れ換えておくよ」
菜々の肩から永輝の手が離れた。さっきまで支えてくれていた温もりが消えて、胸がキュッと締めつけられる。菜々が永輝を見上げると、彼が気遣うように小首を傾げた。もう大丈夫、という気持ちを伝えたくて、菜々は口元で笑みを作った。同じように永輝が微笑み返してくれる。
(そろそろ……飲みものを探さなきゃ)
菜々は大きく息を吐いて、キッチンへと向かった。永輝が窓を開ける音がして、よどんだ空気が動き、いくぶん気温の低い外気が入ってくる。
菜々はキッチンでダークブラウンの食品戸棚の扉を開けて中を探したが、開封済みのインスタントコーヒーの瓶は中身が固まっているし、未開封のものも賞味期限がとっくに切れていた。
「今夜はここに泊まるの? アパートに戻るのなら送っていくよ」
永輝が言いながらキッチンに入ってきたが、コーヒーの瓶を持ったまま途方に暮れている菜々を見て目を細めた。
「あの、何か飲める物を探してきます。賞味期限の切れてないのがあるかも……」
永輝が菜々の目元をもう一度親指でなぞり、もう涙がこぼれないことを確認して、口元を緩めた。
「じゃあ、俺は部屋の空気を入れ換えておくよ」
菜々の肩から永輝の手が離れた。さっきまで支えてくれていた温もりが消えて、胸がキュッと締めつけられる。菜々が永輝を見上げると、彼が気遣うように小首を傾げた。もう大丈夫、という気持ちを伝えたくて、菜々は口元で笑みを作った。同じように永輝が微笑み返してくれる。
(そろそろ……飲みものを探さなきゃ)
菜々は大きく息を吐いて、キッチンへと向かった。永輝が窓を開ける音がして、よどんだ空気が動き、いくぶん気温の低い外気が入ってくる。
菜々はキッチンでダークブラウンの食品戸棚の扉を開けて中を探したが、開封済みのインスタントコーヒーの瓶は中身が固まっているし、未開封のものも賞味期限がとっくに切れていた。
「今夜はここに泊まるの? アパートに戻るのなら送っていくよ」
永輝が言いながらキッチンに入ってきたが、コーヒーの瓶を持ったまま途方に暮れている菜々を見て目を細めた。


